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朱に交わって赤くなりたくない

2011年03月26日 11:52

パレード (幻冬舎文庫)パレード (幻冬舎文庫)
(2004/04)
吉田 修一

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うちの母はけっこう読書家で、僕にもそれは少なからず影響しているのだけれど、あまり僕に本を薦めてくることはない。そんなに趣味も合わないので薦められても困るけれど。
そんな母が珍しく読めと言って来た。曰く
「解説が意味不明なんだけど、今時の若い子ってこういう感覚なの?」
と。
そうまで言うなら、若者代表としてご意見番の任、拝命いたしましょう。


という流れで読み出したのだけれど、これが面白くない。

それぞれ腹に一物抱えた5人の若者が、何となく送る共同生活。上辺だけの付き合いもそれなりに上手くいっている様に見えるが…。

何が面白くなかったかって、主要人物5人の誰にも感情移入も共感もできない。
だからって面白くないと決めつけるのもアレだけれど、最終章を除いて、特に何が起こるでもないダラダラした共同生活が描かれるにあたって、彼らに魅力を感じられないのは辛かった。
具体的に言えば、先輩の彼女と平気で寝る男や、付き合っているのかどうかもあやふやな男からの電話を待ち続ける女や、古今東西のレイプシーンを繋げたビデオで心の安寧を得る女が、僕には別の星の人に思われた。
いや、まあ異星人というのは言い過ぎだとしても、僕とは住む世界が違うのは確かなのだ。

こう書くと表面的な行動だけ見て「理解できない」と断じているみたいだけれど、上辺だけの関係性を続ける彼らを評価するにあたっては、その上辺だけ見ても別に差し支えないのではないか。
もちろん、各章はそれぞれの一人称で描かれていて、その考えや思いもわかるのだけれど、結局そういう内面を知ったところで、僕には「腹に一物」というだけで魅力には思えなかった。

ところがしかし、解説は、この本を「こわい」と評し、彼ら5人が非常に魅力的だと書いている。
他の人のレビューもまた、「魅力的」であるとか「人物描写がうまい」であるとかいったことが書いてある。
理解できないものに対して「こわい」ならまだわかる気もする。僕は理解できないことに恐怖は感じなかったけれど、そういうことはままあるだろう。
でも、みんなの意見はどうもそうではないらしい。

僕が、「理解できなそう」だから「理解を放棄」しているのかもしれない。そういう面はあるような気がする。
それでも、解説や、他のレビューとのあまりの感じ方の違いに戸惑う。
こういうことはたまにあって、自分と他の価値観のズレによって、あたかも自分が特別であるかのように錯覚してしまいそうになる。心の底では、自分の価値観世界観が「正しい」「優れている」と思おうとする。
そうして、自分の中の傲慢な部分に気が付く。
同調するのではなく、孤立することで自分を肯定したがる。
それは、とてもグロテスクだと思う。

そういう意味でなら、なるほどこれは「こわい」本だった。
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コメント

  1. くるり | URL | -

    1人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。

  2. まつのじ | URL | -

    2人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。

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